経営労務のお役立ち情報!!
I 職場での「熱中症予防対策」はお済みですか?
●職場での熱中症により21人が死亡
平成24年の「職場での熱中症による死亡災害の発生状況」によると、職場での熱中症による死亡者は21人で、依然として多くの方が亡くなっています。また、死亡した21人のうち18人については、WBGT値(暑さ指数)の測定を行っていなかったことが明らかとなったそうです。業種別にみると、「建設業」「製造業」で前年より死者数が増えています。また、昨年は「7月」と「8月」に集中的に発生し、死亡災害の57%が「高温多湿な環境での作業開始から2日以内」という短期間で発生していたとのことです。
●3人に1人が"熱中症予備軍"
"職場での熱中症"による死亡者数は上記の通り21人ですが、昨年6~9月の熱中症による全死亡者数は、685人となっています。また、昨年の夏季には日本人の3人に1人が"熱中症予備軍"だったという調査結果もあるそうです。
●注意すべきポイント
熱中症についての注意事項は、以下のとおりです。
◎建設、製造、運輸交通、貨物で発生割合が高い
◎熱中症になると半数は4~7日の休業を必要とする
◎40歳代の割合がもっとも高く、次いで50歳代、60歳代
◎経験年数が1年未満の従業員の被災が多い
◎全体の約3分の2が従業員数50人未満の事業場で発生
◎どの時間帯でも発生するがピークは15時
◎気温30度以上での被災が多い
◎WBGT値(暑さ指数)が25度以上31度未満での発生が大半
●対策グッズの活用や労働環境の見直し
熱中症の危険性がわかる簡易な熱中症計、内部の温度が上がりにくいヘルメット、冷却材を入れられるベストなど、熱中症対策グッズもいろいろとあるようです。今年の夏は、特に平年より気温が高くなることが見込まれています。対策グッズの活用と作業環境の見直し、健康管理の指導強化などの労務管理が必要とされます。
II 新情報!キャリアアップ助成金が新設されました 雇用保険二事業の一環として、有期契約労働者等*の企業内でのキャリアアップ等を支援する企業に対する包括的な助成制度として、「キャリアアップ助成金制度」が創設されましたので、概要を紹介します。(*対象は有期契約社員およびパートタイマー、派遣従業員など)
助成内容〔下記の6つのコースがあります〕 | 助成額 ......( )の額は大企業の額 | |
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正規雇用等へ転換 | 正規雇用等に転換または直接雇用(以下「転換等」といいます。)する制度を規定し、有期契約労働者等を正規雇用等に転換等した場合に助成 |
・有期→正規:1人当たり40万円(30万円) ・有期→無期:1人当たり20万円(15万円) ・無期→正規:1人当たり20万円(15万円) ※対象者により、加算の場合あり |
人材育成 | 有期契約労働者等に、「一般職業訓練(OFF-JT)」または「有期実習型訓練(ジョブ・カードを活用したOFF-JT+OJTを組み合わせた3~6か月の職業訓練)」を行った場合に助成 |
OFF-JT《1人当たり》 ・賃金助成:1h当たり800円(500円) ・経費助成:上限20万円(15万円) OJT《1人当たり》 ・実施助成:1h当たり700円(700円) |
処遇改善 | すべての有期契約労働者等の基本給の賃金テーブルを改定し、3%以上増額させた場合に助成 | 1人当たり1万円(7,500円) |
健康管理 | 有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を規定し、延べ4人以上実施した場合に助成 | 1事業所当たり40万円(30万円) |
短時間 正社員 | 短時間正社員制度を規定し、労働者を短時間正社員に転換・新規雇入れした場合に助成 | 1人当たり20万円(15万円) ※対象者により、加算の場合あり |
パート労働時間延長 | 有期契約労働者等の週所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延長した場合に助成 | 1人当たり10万円(7.5万円) |
III 昨年度の個別労働紛争相談で、「いじめ・嫌がらせ」がトップに! 平成24年度の個別労働紛争解決制度の施行状況によると、「いじめ・嫌がらせ」での相談が増え、今年は初めて「解雇」に関する相談を抜いて、トップになりました。
●平成24年度の相談、助言・指導、あっせん件数
◎総合労働相談件数 106万7,210件
◎民事上の個別労働紛争相談件数 25万4,719件
◎助言・指導申出件数 1万 363件
◎あっせん申請受理件数 6,047件
●平成24年度状況のポイント
・総合労働相談件数は、5年連続で100万件を超えた。
・『いじめ・嫌がらせ』に関する相談は増加傾向にあり、51,670件。
・助言、指導の申出件数は増加傾向にあり、初めて1万件を超えて過去最多。
●あっせんとは例えばどんなもの?
職場の上司によるいじめ・嫌がらせ(暴言等)の実際例
事案の概要 | 申請人は、採用されてから現在に至るまで、職場の上司より暴言、差別等を受けており、精神的に限界状態にある。このため、暴言等により体調を崩し退職に追い込まれたとして、50万円の慰謝料の支払いを求めて、あっせん申請した。 |
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あっせんのポイント・結果 | あっせん委員が双方の主張を聞き、調整を図ったところ、当事者間の歩み寄りにより、解決金として20万円を支払うことで合意が成立し、解決した。 |
「パワハラ」の予防は、「何がパワハラか」を管理職、社員が理解することが大切です。定期的に研修を行い、知識・理解を深めることなどが有効です。
監修 :中島光利、木嵜真一、八木義昭